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私服の面接官  [Spring]


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~32社も面接に落ち続ける彼女~

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土曜日に、知人の仕事の手伝いで出かけました。今、彼の事業は忙しいピークの最中です。
仕事はなかなか終わらなくて深夜に及びそうで、終電に間に合わせることは早々に諦めました。

結局終わったときには日付も変わっており、皆も解散して、「とりあえず食事」ということで、彼と二人で居酒屋で食事することにしました。お酒は一杯だけでしたが少し酔いました。

お酒を飲みながら彼は、
「Hちゃんだから言うけど、オレは嫁と別れたい!! こっちは頑張ってるんだから、少しぐらい優しい言葉があってもいいのに。…離婚したい!!」
などと言い、わたしは、
「え!? 離婚ですって!? ……わたしなんか母に女子として育てられたよ。Mさんには初めて言うけど!! 去年自分についてじっくり考えたんだけど、思い出せば出すほど母は強烈な男嫌いだったのです!!」
と、ちぐはぐながら男同士の話(?)をしました。

「ああ離婚だ離婚。……男児に女子向けの服を着せてる親って結構多いよ」
「女子向けの服?? わたしはそこまでいかないよ。服はあくまで“女子っぽい”の範囲内だったと思う。……離婚といえば、わたしはMさんの友達のYさんに何かの弾みで、“離婚なんかする人は幸せになれない”って言ったことがあるよ。それはそのときの本音だったんだけど、そう言ってから彼女がバツイチだったことを思い出してしどろもどろになって言い訳したよ。“今のはうちの両親が離婚しなくてよかったって意味だよ、あくまでわたしの個人的な感想だよ、一般論ではないです”って。だはは~」


ひとしきり話をし終えたとき周囲の客が一斉に帰り始め、空いた席を片付ける店員にわたしが「2時で閉店ですか?」ときくと「朝までやってます」と彼女は答えました。
そして、どういうわけか、そのままわたしたちと彼女は30分以上会話をしていました。

留学経験もある彼女は、最後にはわたしたちの前にしゃがんで英語まじりに話していました。
(どういうわけか、本当です)
思い出してみると彼女は大学生で、ゆくゆくはちょうど今Mさんが経営している業種への就職を希望していたのでした。そしてそのことが分かったことが、途中から話が弾んだきっかけなのでした。

だとしても、こちらが始めに名乗ったわけでもなく、始めの他愛のない無目的な会話の中でお互いの状況が分かるところまで進んだということに、「人と人の縁って、こういうものなんだよな」と思ったりしました。
そして、この就職難の中、このような偶然が彼女を助けることもあるでしょう。


ですから最後にわたしは、彼女とMさんの顔を交互に見て、
「採用です。そうしましょう。勉強も頑張ってるし、学費もこうして深夜に働いて稼いでる。その他諸々。…合格です!!」
と言いました。そして、カジュアルな私服姿で、土曜日とはいえジーンズの膝に穴さえ開いているわたしは、
「……でもわたし、何の立場で言ってるんだぁ?? よっぽど偉いのか、わたしは!!」
と言うと、笑った彼女はそれでも「これが将来の就職に結びつけば」というような目をしていたように思えました。

もちろん、彼女の心の中まで分かりませんが、わたしもそんな目をしていたことがあったな。一心になって事態を打開し、(ささやかなものでしたが)未来をつかんだことがありました。
そして、それがきっかけとなり、初めてのリーダー経験を得ることができ、そのことが辛うじて今のわたしを支えています。

彼女はそのうちMさんの事業所を見学にくるだろうな。
それを躊躇しなければ採用です。←だからわたし誰??
Good Luck!!


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ありゃだめだ  [Spring]


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パソコン教室でときどき話す女子が入籍したそうです。
そのことを他の人から聞いたのですが、その人もどこかで小耳に挟んだだけですので、本当のことか分かりません。

それで、彼女に廊下ですれ違ったとき、
「あら、Nちゃん。わたしに何か報告することがなくて? 最近何かあった?」
ときいてみました。
すると、
「報告? …何もないですけど」
と、いつものように恥ずかしげに笑って言いました。
彼女があまりに不思議そうな顔をしているので、わたしは思わずまともなモード(?)に切り変わり、
「いえいえ。何でもないです。ごめんなさい。忘れてください」
と言って去りました。

今年中に結婚するかもと言っていたので、本当に入籍したのだとは思いますが、なんだか不思議な人です。
(いや、本当に不思議なのは女子言葉を使いこなすわたしの方だが、それは今さら言うまでもない)

彼女の入籍を知った男たちが、突然彼女に対して辛口評価に切り替わりました。
今までは「美人だ」とか「頭がすごくいい」とか言っていたのに、
「性格的に内気すぎて、仕事ができなそう。ありゃだめだ」
などと陰で言われていました。
(おそらくショック性の一時的な変化)

それぐらい、独身者にとって結婚は大きいことなのだと思います。仮に意識していなくても。
わたしもまた貯金ができるように頑張ります。


「ありゃだめだ」と言った彼の頬が真っ赤だったのがおもしろかった。
真っ赤になる必要性がありません、あんたこそ、ありゃだめだ。


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タオルをください  [Spring]

疲れたせいか、風邪をひきました。すぐに治りそうです。

土曜日の話の続きです。
居酒屋を出た後、SPAに泊まりました。
浴槽の中で、Mさんは半分眠っていました。その間にわたしは、サウナにも入りました。
浴室からあがるとき、Mさんが「あかすりしてもらおうよ」と言うので、そうすることにしました。
今まで、終電を逃してカプセルホテルなどに泊まるときに、マッサージを受けたことはありましたが、あかすりは初めてです。
(普通のマッサージです。あたりまえですが)

あかすりは、とても気持ちよかったです。15分だけだったのですが、なぜか長く感じられました。
あかもたくさん出ました。
最後に韓国のおばちゃんが、
「終わったよ、流すから立てぇ~」(立って、の意味)
と言いました。
ところが、始めわたしのケツに巻かれていたタオルは、今やわたしの手の届かないところに掛けられており、それがないと裸でうつ伏せに横たわるわたしは立つことができません。

だって、小さいの見られるの嫌じゃないすか。
それで、
「タオルをください、タオルを…」
と呟くような声で訴えるわたしを、おばちゃんは哀れむような顔(?)で見て、わたしは心身ともに小さな男になってしまったように感じられたことです。


また数ヵ月後に、どこかであかすりしてもらいたいなあと思っています。
今回は体の背面が主でしたが、もっと時間の長いコースで、腹側もやってもらいたいと思います。
だけど、小さいのを見られるのはほんと恥ずかしいなあ。仰向けの場合、どういうふうにするんだろう? タオルで隠していいのだろうか。

当然のように、強制的にタオルを取られそうで怖い。
でも、自分の名誉のために書いておきますが、わたしは立つとでかいです。

日記にそこまで書く必要ないか。だはは。


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