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大統領がなんでもできるんだったら  [WDS第一章-1]

 もう少しましなものを接収していただきたいものです。

チャベス大統領、ヒルトンホテルを接収 理由は「オーナーが生意気」  2009年10月15日 AFP

 ベネズエラのウゴ・チャベス大統領は14日、同国のマルガリータ島にあるヒルトン・マルガリータ・スイーツ・ホテルを接収したことを明らかにした。
 接収の理由は、前月26-27日に開催された南米・アフリカ首脳会議の会場として同ホテルを使った際に、ホテルのオーナーがベネズエラ政府に対し条件を付けてきたからだという。
「首脳会議開催にあたり、われわれは許可を求めなければならなかった。そのうえ、オーナーどもは革命政権に条件を付けたんだ。まったくなんたることだ」「だから『接収してやろう』と言ってやった。それでその通り接収した」


 わたしが権力を持った大統領だったらこうなる。

大統領、島の処女という処女をまるごと接収、理由は「ひとりの処女が生意気だったから」

 マルガリ島という冗談のような名前の島に興味を示した大統領は、あるときあれこれ理由をつけて視察に訪れました。
 そして海辺で無邪気に遊ぶひとりの処女に恋をしました。
 けがれを知らない澄んだ瞳の彼女に歳を尋ねると、21歳だと言う。

「ウム、ちょうどいい。よろしい」 (なにが??)

 大統領は迷わず彼女に求愛しました。こんなこともあろうかと、東京は銀座のテファニーで買い求めたダイヤのリングをポッケからごそごそ出しながら、

 あなたはとても美しい人です。
 ボ、ボクと交際して欲しいんだ、これプレゼントです……

 と勇気を出して言いました。

 ところが彼女は「それいらない、わたしあなた付き合う絶対イヤだ。コーヒー飲むか?」とアジアの留学生みたいな返事をしました。
 この思いがけない拒絶に憤慨した大統領は

「接収!この島のすべての処女、接収!」

 と叫び、それでそのとおりマルガリ島の処女という処女は接収されたということです。
 まったくなんたることだ。

(接収しただけです、大統領にそれ以上の度胸はありません)


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接収! その後  [WDS第一章-1]

 大統領は、マルガリ島の処女という処女を本土の牢屋にぶち込みました。
 大統領の怒りは収まらず、

「ふん。そこで頭を冷やすがいい!」

 と処女どもを怒鳴りつけ、イチモツを振り回して悪態をつきました。

(内気な大統領は、ふだんあまり大胆なことや悪いことができないタイプです。しかし、本気で怒るとこうなります。ご注意!)

 処女どもは顔を赤らめ悲鳴をあげ、両手で自分の顔を隠しながらも、指の隙間から大統領のナニをちらりちらりと盗み見しました。

 日が暮れて、処女もだんだん慣れて喜ばなくなった(?)ことだし、大統領は自宅へ戻りました。

 晩御飯は、お好み焼きを作って食べました。
 毎日毎日こればっかり。
 わびしいいつもの食卓です。

「いつまでも独身貴族ってのも、味気がないものだなあ。おかあさーん」

 独りつぶやいてみても誰もいません。
 ほんと、さみしいものです。
 深まりつつある秋の冷気が心にしみました。


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今は反省しています  [WDS第一章-1]

 食事が済むと大統領は、いつものようにちゃんと自分で食器を洗いました。

「オレは家事は自分でなんでもやるよ、てか、オレしかいないんだから当たり前か! ブツブツ……」

 洗い物と言っても、お好み焼きの皿一枚とフォーク一本だけ。
 達成感もありません。

「誰かーが あなーたを 必要ーと している~♪」

 大統領の鼻歌、これはKOKIAの歌だと思いますが、明るすぎてまたさびしい。ふん。

 ベッドに入ると、テレビのチャンネルを次々変えてみますが、どこも都知事選の話題ばっかり。
 あきらめてテレビを消すと、薄暗い部屋が妙に静かで、わずかにでも人のぬくもりが欲しいと思いました。

 こんな冷える夜は、わたしの布団のここに愛猫がもぐりこんできて、朝まで一緒に寝たものだなあ。
 不意に訪れる、愛する者との別れ。これが人類の避けられざる運命ならば、なぜわたしたちは生まれてきたんだろう……?

 と、大統領は活字もろくに読めないくせに、文学者ぶって思索し続けました。
 そしてひとつの結論を出しました。

「処女にふられて頭にきてマルガリ島の処女という処女を接収したが、今、彼女たちは牢屋でわたしと同じようにさびしい思いをしている。ああ、何の罪の無いあわれな処女たちよ、すぐわたしが慰めに行かなければならない!」

 だそうです。


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