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タイムマシーンで過去に行くとしても  [Prologue]

持ち込める物品はひとり1個のみ、だそうです。

過去に行くとしたら、邪馬台国をこの目で確認したいという気持ち(いわゆる歴史ロマン)も強いのですが、それより過去の自分に会いに行くことに決めています。
叱咤激励しに行くのだ。

過去の自分に会ったら、まずウムを言わさず馬乗りになって、ムチでしりをぺしんぺしん叩く。
ワケも分からず彼はただ、ひひ~んと悲しい鳴き声をあげるであろう。
しかしわたしはなお攻撃の手を弛めない。
強くなってほしいのだ。
愛のムチだ。
あの頃の自分に変わってほしいんです。

その後、栄養不足と孤独で乾いたくちびるに、リップスティックを優しく塗ってあげます。
嫌がるだろうね。
しかしあの頃のわたしは手当が必要だ。
あと当時まだ売っていなかった最新の栄養ドリンクを無理やり飲ませて、全般的にヤル気のUPをはかります。

少しお金も渡してあげたい。
本をたくさん読んでほしいし、遊びも経験になる。
ただし、現金を若僧に渡すのはよくないと考える。
図書券がいいだろう。
あと、カラオケ無料券だ。
歌を歌うと元気になる。
今でも歌は大好きだが、あの頃のわたしはもっと情熱を持って歌っていた。
自転車に乗って、歌ばかり歌っていた。
旅行券もあげたいところだが、贅沢はいかん。
青春18きっぷをあげるから、鈍行で旅をせよ。
てか18きっぷで各駅列車に乗って京都の友達に会いに行ったことがあるから問題ない。


それから、成田山の易者の占い半額券(?)もあげる。

あらかじめわたしは成田山の易者に言葉巧みに長旅に出てもらっている(これも18きっぷで)。
そしてわたしは易者が留守の間、成田山で易者になりすまして、わたしやわたしの家族がやってくるのを待つ。

成田山では、おかあさんは易者に見てもらうのが習慣だった。
だから、わたしの一家が成田山参拝に来たら、ニセ易者のわたしのところに必ずやってくる。半額券も渡してあるんだから、確実だ。
そこでわたしはこう伝える。
「おかあさんは病気の相がありますなあ。毎年必ず定期健診をすべし。特に食道と胃です」

おかあさんのガンが発見されたとき、既に末期だった。
だから手遅れにならないように、占いの形で過去の家族全員に「おかあさんは定期健診が必要」と警告するのだ。
しかし、大家族だから大変だ。
いっぱいいるから誰かひとりぐらい真剣に聞いているだろうという感じがするが、いっぱいいるからこそ安心して誰一人としてまじめに聞いていない、ということがわたしの家族ではよくあった。
しかしおかあさんの命がかかっているのだ。
わたしは家族のメンバーひとりひとりに「母の定期健診」を強調する。
ボケづらかいているメンバーに対しては、ムチで威嚇しつつ頭に叩き込む。

なんならあの頃のわたしを生け捕りにして、嫌がる彼の体に消えないマジックでこう書いてもよい。
「キミは若くしてコレステロール値が上がるが、それよりお母さんの定期健診を忘れずに!」

嫌がったって知るもんか。
そもそも、成田山の易者を言葉巧みに長旅に出し、易者に成りすましてあの夏の炎天下キミたちを待つのもだるい。
最初から「アパートで生け捕り→消えないマジック」コースにしたっていいんだ。
そうすれば占い半額券を刷って持っていく手間も省ける。

だいたいこんな予定で考えています。
あとは持ち込みを1個に絞らなければなりません。


(隠してあれこれ持っていこうかな?…ムチは必ず)


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Hit。。。  [Prologue]

わたしはきのうの夕暮れに電車に乗り、ある駅で降り、駅前広場でとあるストリートミュージシャンの歌を聴いていました。わざわざ歌を聴くためだけにその駅に行ったのです。

それで、彼女のピアノの弾き語りの曲の何曲目かが始まったとき、以前ここで彼女から買ったCDで何度も聴いた、そのメロディに心をぐっと掴まれ、

「なんだかしんみりとすることだなあ……」

と、独り、曲に聴き入りました。

と思ったら、朝に見た夢の最後で感じたようなメソメソ感がわたしをひと撫でし、ぐっときたわたしは思わずしゃがみこみました。
それでそれは「メソッ」と一発で済んでくれたので、すぐに立ち上がりました。
散々だった2010年ですっかり弱ってしまった心が音楽に誘われて、ついつい路上で「しくしく」と泣き出してしまうことは避けられたのです。

しかし、CDで聴くよりストレートに体に入ってくるピアノがわたしの心を解放してくれず、もう一度こみ上げてくる予感がしました。しかも、わたしには、次に来るメロディの盛り上がりも、切なさを増す歌詞も分かっているのです。
(↑泣きたくはないけど、泣く準備は整ったようですな)

歌は続いています。そこで突然、

クリーン★ヒット!!

という解説者(?)の声が頭の中で流れ、それと同時にわたしの目から涙が溢れ出し、容易には治まらなそうな激しい感情の波が押し寄せてきました。
(そのような声が頻繁に聞こえてくるようであれば保険センターに来てくださいと、健康診断の紙に書いてありました)

ミュージシャンのこのピアノと生歌が、私の脳内でHitしてしまったのです。
(解説者が悪いのか、サビの部分でもなんでもないところでHitっ!!)

わたしの頭の中は、日々こらえていた悲しみで溢れ返り、わたしは思わずミュージシャンに背を向け、反対の方向に2、3歩足が進みました。
抑えることのできないわたしの激しい感情は、朝、夢の最後で泣いていたときと同じものでした。
そして、わたしは通行人に押されるようにふらふらと歩き出し、進めば進むほど人通りは多く、思い切り泣ける場所が無いのっ!!

遠くからでも、ミュージシャンの歌声が聞こえていました。
ああ、生歌っていいなあ。


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特大ネームカード!!  [Prologue]

今日は山田さんはいませんでした。
山田さん(仮名)というのは、わたしがいつも行くスーパーで一番の美人店員です。

きのうはいたんです。
それでわたしは彼女のレジに並ぼうとしたのですが、さっとおばちゃんが割り込んだがために、ほかのレジに行くことになりました。こんなときに限って、ほかのレジが空いているとは全くなんたることだ。

もし、それでも山田さん(美人)のレジに並んだら、周囲の人々の目に、わたしの心は明らか過ぎるではありませんか。
空いている隣りのレジで客を待つ、中国からの留学生の林さん(仮名)が、どう見ても丈夫な体を思い切り小さくして、本人はわたしに気付かないふりをしているつもりながら自分のことのように頬を赤らめ、もじもじすることでしょう。

中国の娘はおもしろい。
これはある程度親しい人のことですが、ある中国人は一緒に写真を撮るときに、わたしの腕に自分の腕を軽く絡ますようにしてきますが、かといってそれはセクシャルな意味があるわけではなく、その行為の延長上にセクシャルがあるわけでもないようです。他の親しい男に自然にそうしているのを見たこともあります。
日本人がもしその写真を見たら、エロい意味で親しいと勘違いしますし、彼女が日本人の女ならそういう勘違いを怖れることでしょう。
そして日本人のわたしには、自ら腕を組んでくるなどというそんな大胆な(?)彼女が、日本人がよくする程度の「男女の話題」をみんなでするようなときに恥ずかしがってもじもじする姿は、一見ちぐはぐしていておもしろく感じられます。

実際には、性的な意味を全く持たない、このような軽いスキンシップを伴う親しさの表現は、実は日本人より貞操観念がしっかりしているからこそ成り立つのだという解釈をわたしはしています。


中国人の話はいいんです。
今年はずっと山田さん(日本人)を見かけなくて、もう辞めたのかなあと思ったりしていたのですが、先週だったか久しぶりにレジに彼女が立っていたときのことです。
いつもばっちりお人形さんのようなメイクをしている彼女の顔が、いつもと違ったんです。
それまでと雰囲気が違って、おねえさんのような顔をしていました。

それで、違う人かな? と本気で考えました。
わたしは隣りのレジで精算中、ちらちらと不審者のように、いや不審者そのものなのだが、彼女をチラ見しました。
(こんなとき周囲の人々の目にこの男の様子は丸分かりであるから諸君も気をつけたまえ)
すると、彼女にしてはメイクが薄いのと、まつ毛が軽くてマスカラをしていないように見えました。

…うむ。ニセ者に違いない。

そう結論付けたわたしに、彼女が首から提げる大ぶりのネームカードがうまい角度で目に入りました。
そこにはでっかい文字で黒々と、

「山田!!(仮名)」

と書いてありました。
実際には無かったビックリマークが見えるぐらい大きな文字だったな。新しいネームカードに変わったのでしょうか。

きのうは元の彼女、すなわちお人形さんに戻っていましたので、ネームカードでの確認は要りませんでした。


追記:すっぴんにやや驚いた話だ


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